品質の良い種子は、少しの工夫で、さらに良くなります。科学技術のおかげで、今日生産者達は、病気に感染しておらず、容易に発芽し、均一な出芽と成長を導く種子を頼ることができています。化学薬品を使わない種子の処理方法は、日々改善しており、新たな開発が進んでいます。

品質に手を加えていない種子は、土の生物叢のバランスが整っている健全な土地では、問題になりません、とBejoの種子病理学研究所の主任研究員である、Liesbeth van der Heijdenは話します。「しかし、土はいつも完全にバランスが整っているわけではありません。どの生産者も、時々挫折に遭遇します。だからこそ、種子に少し手を加えるのです。」Bejoは、この種子に加えるすべての処理工程を、本社の所在するオランダのWarmenhuizenにて行っています。種子は、いくつかの大陸の生産拠点で収穫された後、直接ここに送られます。そして、本社の高度な技術を備えた施設にて、様々なテストや処理を受けます。ここで発芽能力と真菌、細菌、ウイルスの感染状態を検査します。必要に応じて、消毒や不純物の除去を行っています。

物理的殺菌

慣行栽培作物の場合、種子由来の病原体を除去するために、まだ化学薬品を使用することができますが、有機栽培作物の場合、種子には、化学薬品を使用することができません。Bejo は 20 年以上にわたって非化学薬品処理の最適化に取り組んでおり、常に新しい方法を研究しています。初めに開発されたのが、熱水処理です。水と熱の組み合わせ方が、真空蒸気方式の開発とともに、さらに洗練されました。「課題は、適切な手法を選択することです。全ての処理が、種子の品質に影響を与える可能性がある為です」Van der Heijdenは話します。「ハエを殺すために、新聞があるのに、金槌を使う必要はないということです。」真空蒸気方式は最も洗練された方法です、と彼女は話します。「蒸気は真空状態では温度が下がります。そしてパルス散布と組み合わせることで、種皮に浸透することなく種子を効果的に処理できます。我々は、様々な作物と病原体の組み合わせに対して、作物固有の手法を開発しました。」

慣行栽培作物に恩恵を

非化学薬品処理を開発する努力は、結果的に、有益な副産物をもたらしました。殺菌剤の使用が中止されるにつれて、慣行栽培作物種子の化学的消毒はより困難になっています。もともとは有機栽培作物の為に開発された処理方法が、代替策として機能しはじめています。Bejoは、全く新しい手法だけでなく、既存の技術の更なる改善の為にも研究を続けています。プラズマと電子線処理技術が役に立つかもしれない、とVan der Heijdenは話します。なぜなら、水を使わずに処理できるようになるからです。

MAKING GOOD SEED EVEN BETTER_2

添加物

汚れを落として不純物を取り除く工程の後に、種子の性能をより良くする為の処理が施されます。種子をコーティング、被覆、またはペレット化して仕上げるのです。微量栄養素や作物保護剤などの添加物を被覆材に組み込むことができます。

慣行栽培作物種子のコーティングには、一般的に、ピシウム属、フザリウム属、リゾクトニア属などの立枯病を防ぐための化学薬品が含まれていました。非化学的抗真菌剤は存在しますが、有機栽培作物では、畑での使用のみが認定されています。「種子コーティングに関しては、利用できるものはほとんどありません。」Van der Heijdenは説明します。「種子処理に関する市場が小さすぎて、種子処理を担う業者は費用のかかる認可手続きを開始できません。」Bejo はこの分野で多くの時間と労力を費やしていますが、ようやく1件の申請手続きを開始したところです。

有益な微生物

一方、Bejoの研究者は、代替策を探すために懸命に取り組んでいます。健康な種子によく見られる有用な微生物を利用することは、実り多いアプローチであることが証明される可能性があります。それらは、発芽と植物の成長の初期の耐病性に役割を果たします。しかしながら、種子消毒は、これらの有用な微生物叢の一部を意図せずに除去する可能性があります。「我々は、これらの良い微生物叢の自然のバランスを維持するために、それらをいったん分離し、消毒後に種皮に戻すことができるかどうかを検討しています。」とVan der Heijdenは話します。

プライミング

コーティングに加えて、プライミングはまた別の種子強化手法です。プライミングされた種子はより早く発芽し、干ばつやその他の極端な気象条件などのストレス要因の影響を受けにくくなります。

この種子技術の分野でも、イノベーションが続いています。数年前、BejoはB-Moxを開発しました。これは、ニンジンとルートパセリに使える特殊な処方です。「我々は今、タマネギ用の B-Mox の開発に取り組んでいます。」とVan der Heijdenは話します。「3年以内に市場に投入できると予想しています。」

きれいで、病気のない、発芽可能な種子

加工と処理によって、高品質の種子に仕上げが施されます。「品質は実際に畑から始まります。生産拠点の専門的な種子生産者とともに。」Van der Heijdenは話します。「その後、加工と処理が施されることで、生産者はきれいで病気のない発芽可能な種子を信頼できるようになります。」