20世紀の終わりにオランダの生産者は国際化を始め、生産活動をスペインなどの国に拡大しましたが、オランダの種苗会社の国際化はすでにその数十年前から始まっていました。BejoのBert Schrijverがその詳細を語ります。

出典:「Groenten&Fruit」 Joost Stallen著 2020年4月10日発行

Bert Schrijverは、野菜種子産業の国際化について喜んで話します。しかし、インタビューの日程を調整するのは大変です。彼はオランダの種子会社であるBejoの研究開発と育種の責任者として、多くの場合はあちこちを巡回しており、時には遠く離れた場所にいることもあります。Bejoは、5つの大陸にわたる複数の国のさまざまな気候帯で、新しい品種を育種しています。Bejoのアソートメントは、約50作物1,200品種、そして6,000の製品形態で構成されています。

 

このように広範囲にわたってすべての育種プログラムを調整し、市場の要望と需要、および育種と種子生産によって何を成し遂げるかを常に監視し続けるには手腕が重要です。特定の作物グループで育種を担当する6人のグローバルリサーチマネージャーが、Schrijverと緊密に協力して、プロセスを正しい軌道に乗せています。

世界で約2,000人いるスタッフのうち、約450人のBejo従業員が育種および研究活動に携わっています。「1982年に耐病性育種プログラムを立ち上げるためにBejoで働き始めたとき、私は会社の50人の従業員の1人でした。」とSchrijverはWarmenhuizen(オランダ)にあるBejo本社で回想します。「それまでには国際化の第一歩が進んでいましたが、依然として西ヨーロッパ諸国を中心としたものでした。」

 

1978年、Warmenhuizenにある種子会社Beemsterboerと、Noord-ScharwoudeにあるJacob Jongが合併してBejoが設立されました。両社は1960年代以来、キャベツ、ニンジン、タマネギの交配に共同で取り組んできました。2つの近交系親系統を交配してハイブリッド品種を開発する技術はその10年間に開発されたもので、栽培技術と品質において、他家受粉品種に比べて多くの利点をもたらしました。しかしハイブリッド品種を作り出すには費用も時間もかかり、当時ほとんどが独自に品種の選抜を行っていた小規模の種子会社にとっては、あまりに長すぎる道のりでした。Jacob JongとBeemsterboerのパーナーシップによって、1970年代後半にキャベツとタマネギの最初のハイブリッド品種が市場に登場しましたが、両社は同じハイブリッド品種を同じ顧客に販売することになると気付きました。力を合わせることが論理的な次のステップであり、そこで新しい会社、Bejoを設立したのです。

 

国際化

最初のキャベツとタマネギのハイブリッド品種のあとすぐに、ニンジンの最初のハイブリッド品種が続きました。新しいハイブリッド品種は国際的に好調で、Bejoは成長し始め、やがてドイツ、フランス、イタリアなど他の国々に子会社を設立するに至りました。種子生産はもともと局所的な活動でしたが、これらの作物にとって変わりやすいオランダの気候は理想的ではなく、Bejoはすぐに種子生産をフランスとイタリアに拡大することを決定しました。1980年代後半から1990年代にかけて、Bejoの成功はすべての露地野菜の開発開始を可能にしました。さらにアメリカ、南ヨーロッパ、東ヨーロッパ市場へ拡大し、各地に子会社も設立しました。

 

拡大期

長期にわたるBejoの着実な国際化に続いて、Schrijverは2000年以降に飛躍の時を迎えます。Bejoは気候とリスクを分散を鑑みて、アメリカで種子生産を開始しました。しかし、アメリカとヨーロッパはどちらも北半球にあるため、植物の生育期間は同時期であり、それはつまり種子の生産も同時期ということです。「それで、私たちは南半球にも目を向け、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチンに種子生産施設を設けました。それらは本当に大規模な事業でした。」とSchrijverは言います。

 

「作物の育種を行うことと、その種子を商業的な量で生産することは、2つの異なる取り組みです。」Schrijverは付け加えます。「したがって、それらは必ずしも同じ地域、場所で行われるとは限りません。例えば、タマネギの育種においては日長が重要であり、気候や市場の需要に配慮し特定の作物を育種するための要件はかなり具体的であるため、育種は現地で行う必要があります。したがって、Bejoでの育種の約40%はオランダ国外で行われています。」

 

「国外への拡大は1980年代に始まりました。」とSchrijverは振り返ります。「当時、私たちは既存の育種プログラムの結果を利用することで、東ヨーロッパの市場で飛躍的なスタートを切ることができました。しかし私たちの保有する南ヨーロッパの遺伝学はあまり良いものではなく、そのため現地で育種する必要がありました。私たちはそれをイタリアから始めました。」

 

その後は、同様の栽培条件と市場要件を持つ他の国々でも、有望な交配種や新品種の試験が可能になりました。Schrijverはこの状況を例えて、パッチワークキルトが大陸全体に広がる様だと話します。「子会社で、または地元の販売店や農家と試験を行うことができ、どの交配種または品種が最も適しているのかを見つけだすことが可能になります。」

 

すべてはWarmenhuizenから

すべての育種が社内の専門スタッフによって管理され、Bejoの自社施設で行われているように、Bejoは自社のすべての販売用の種子を保管し、すべての純度と品質のチェック、加工、および処理を行っています。Bejoの種子はすべて、WarmenhuizenでBejoの処理工程を通過します。ここから、世界中に様々な製品形態で出荷され、30か国以上の子会社、および他の多くの国の販売店やディストリビューターによって供給されます。

Bejoは、多くの異なる商品形態の種子を提供しています。「例えば、ほとんどの品目では0.2mmごとに変化する、様々なサイズの種子を供給しています。」とSchrijverは話します。「種子は未処理のままにもできれば、化学的処理または温湯消毒により種子洗浄を行うこともできますし、さまざまな薬剤でコーティングしたり、ペレット加工したりすることもできます。また、国によって追加要件がある場合があり、多くの場合植物検疫要件が加わります。」

 

室内における研究への移行

急速に進歩しているのは国際化だけではありません。グローバルな育種プロセスと種子技術研究をサポートする技術開発も進歩しています。WarmenhuizenにあるBejoの研究センターでは120人以上の従業員が、抵抗性育種、組織培養、細胞生物学、分子マーカー、ゲノム解析、生命情報科学、種子生理学、種子病理学に取り組んでいます。ラボでの遺伝子型解析や、育種材料や新品種の耐病性レベルのチェックなど、技術分野の継続的な進歩によって、今までは温室や圃場で行われてきた多くの育種にかわかる作業が置き換えられたり、その過程が加速されたりしています。今世紀に入り、Bejoはさらに有機栽培のための種子の育種、生産、および処理を専門とする、本格的な国際ビジネスユニットも有してきました。 Warmenhuizenで働く従業員は、オーガニック種子を生産するための最良の方法を見出す研究を行っています。