一企業として、また有機農産物の生産に携わる中で、Bejoは、有機種子を市場に供給し、有機農産物の生産をより一層強固なものにすることこそ我々の使命であると考えています。このような立場で、Bejoは他の有機種子生産会社とともに、ヨーロッパ市場において有機種子をさらに普及させるために克服しなければならない様々な課題について議論するために、欧州連合(EU)によって設立された国際的な枠組みであるLIVESEED会議に参加しました。

有機食品の需要が伸びるにつれて、当然有機野菜種子の需要も高まってきています。およそ30年前から、ヨーロッパにおいて、有機農産物を生産する際には、入手できる場合に限り、有機種子の利用が義務づけられています。万が一有機種子の入手が困難な場合にのみ、生産者は監督当局から非有機種子の使用について許可を得ることができます。しかしながら、新しい有機農業の生産規則(EC 848/2018)においては、全ての有機農作物の生産過程において、上記のような例外的な対応は2035年末までに段階的に廃止されることとなっています。しかしながら、実際には、2021年現在、非有機種子は有機農業農産物を生産するためにいまだに弘く使用されており、欧州連合加盟国のいくつかにおいては、認可された有機種子を見つけるのが大変困難なほどです。これらの議論から、現在有効な有機種子に関する規則や方針、どのように改善するべきか、検討が進んでいます。

100%有機種子達成への道筋

2020年6月と11月に開催されたいくつかの国際的なワークショップを重ねる中で、2035年の末までに100%有機種子を達成するためには、段階的に、積極的かつ包括的なアプローチが必要であるという結論に至りました。全ての利害関係者が受け入れることができ、互いに進歩していけるような方針とはどのようなものなのか。100%有機種子を実現する道筋、最終的に目標を達成するためにはどのように行動するべきか、いくつかの中間目標も含めて議論が進められました。100%有機種子が達成されるべきタイミングをあらかじめ公表することによって、生産者と種苗会社の両方がその達成のために確実に備えることができるのです。つまり、生産者は、有機栽培のために開発された新しい品種を入手し、事前に試験的な栽培を行う機会を得ることができ、同時に、種苗会社はシェア拡大のために、積極的に有機種子市場に参入するようになるでしょう。

問題提起

100%有機種子をどのように実現してゆくのか、社会実装のために具体的な計画を策定し実行してゆくことが必要となります。国や地域によりスタート時点の状況が大きく異なるため、さまざまな状況に即したアプローチが必要です。100%有機種子を達成するために解決するべき課題や求められる対応なども、作物ごとに異なるかもしれず、このため、作物それぞれに特化した解決策を検討する必要があります。願わくば、これらの動きが各国の有機農業に関連した生産計画政策や行動計画に反映されることを期待しています。

もっと深く理解いただくために

LIVESEED会議のプレゼンテーションや合意事項等の成果物はLIVESEEDによって、こちらのレポートに要約されています。

Raaijmakers M, Heining N, Gatzert X and Meyer K (2020) Notes of the international workshop on the implementation of the regulation for organic seed June 25- 26, 2020.

有機農業市場におけるニーズを全て満たすことができる品種の供給を実現するためには、長期的な見通しの中でいくつかの中間目標を設定することが大切であり、そのためには、短期的な計画を立案する際においても、それぞれの段階に即した中間目標を立て設定することが必要です。

Bram Weijland
Bejo有機農業コーディネーター